松浦理英子『犬身』朝日新聞社

 「その通りよ。こういうわたしにセクシュアリティというものがあるとしたら、それはホモセクシュアルでもヘテロセクシュアルでもない、これは今自分でつくったことばだけど、ドッグセクシュアルとでも言うべきなんじゃないかと思う。好きな人間に犬を可愛がるように可愛がってもらえれば、天国にいるような心地になるっていうセクシュアリティね。そして、犬だから相手の人間の性別にはこだわらない、と。(以下、略)」 p.82