2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

鴻巣友季子『翻訳のココロ』ポプラ社

身も蓋もないことをいえば、翻訳とはそれじたい、性格のわるい作業なのである。 p.24 原文の含意を伝えるというのが、目標の「バー」だとすると、これを越せなければ、そこで翻訳は敗退である。だからといって、文中にあれもこれもと訳者の補足や工夫を盛り…

有川浩『別冊 図書館戦争』1 アスキー・メディアワークス

「少なくとも特殊部隊で気づいてなかったのは手塚くらいのもんだわよ!バレバレもいいとこよあんたら、この恥ずかしいカップルめ!誰かお酒!強いお酒をあたしにちょうだい!」 p.22(一、「明日はときどき血の雨が降るでしょう」より) 「もうな、俺はな、…

上橋菜穂子『流れ行く者 ―守り人短編集―』偕成社

あれは浮き籾だってね。実がしっかりはいっていないから、ふらふら浮いちまう。ちゃんと実ることもない、すかすかの籾だって。」 p.19(「浮き籾」より) いかにもカンバルの武人らしい考え方だぜ。生きるも死ぬも己れの力ひとつ。刃を抜くときは己れの命を…

瀧羽麻子『株式会社ネバーラ北関東支店』メディアファクトリー

日頃は注目したことのない納豆コーナーで、その種類の豊富さにわたしは目をみはった。ヨーグルトはプレーンといちご味しか置いていないというのに、こちらは十五種類ほどもある。陣取っている棚の幅も段違いで、あらためてこの町での納豆以外の発酵食品の不…

瀧羽麻子『株式会社ネバーラ北関東支店』メディアファクトリー

わたしは毎日、七時五十五分のバスに乗る。 p.1

石井桃子『ノンちゃん雲に乗る』福音館書店

ノンちゃんは、いま泣いたと思ったら、もう笑うような子じゃありません。泣いているといったら、泣いているのです! p.15

石井桃子『ノンちゃん雲に乗る』福音館書店

いまから何十年かまえの、ある晴れた春の朝のできごとでした。 p.1

飛鳥部勝則『ヴェロニカの鍵』文藝春秋

「密室トリックということですね」 「推理小説のファンですか」 「いえ、マンガとアニメでしか知りません」 p.128 「人の死をもっと厳粛に受け止めなくていいのか」 彼女はあっさりといった。 「いいんじゃないですか。人の死なんて」 p.129

飛鳥部勝則『ヴェロニカの鍵』文藝春秋

ヴェロニカ。 あなたのことをそう呼びたいと思う。 p.7 今夜も徹夜になるだろう。 p.10

垣谷美雨『リセット』双葉社

「まあ、そりゃ立場が違えば、お互いになかなか理解できないわけだけどね……」 p.118 男女同権やら四年制大学やら何や知らんけど、もしも、もっぺん人生やり直せたら今度こそもっと実のある人生にせえへんか。なあそやろ。せっかく生まれてきたんやし、もっ…

垣谷美雨『リセット』双葉社

掃除機のスイッチを切ると、いきなりリビングに静寂が訪れた。 p.5

山崎ナオコーラ「秋葉原」(『論理と感性は相反しない』講談社より)

ボルヘスと神田川は、いつも対極にいる。ひとりが旅行へ出れば、もうひとりはその反対側へ用事ができる。二人が出会うことは、永遠にない。 p.129 アンチポデス。

山崎ナオコーラ「人間が出てこない話」(『論理と感性は相反しない』講談社より)

薔薇が赤いのは虫に蜜を吸ってもらいたいから、リンゴが赤いのはキスをせがんでいるから。 p.28 マグマが赤いのは地球の生理みたいなもんで、石が灰色なのはそれが宝石ではないから。ちなみに、宝石がキラキラしているのはみんなに愛されたいから。 p.28