2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ミシェル・ペイヴァー『追放されしもの』評論社

トラクが目を覚ましたのに気づいてウルフがやってくると、まるで仲たがいなど一度もしたことがなかったかのように、陽気に鼻をなめあった。 [ごめんよ]トラクは、オオカミの言葉で言った。といっても、それは今トラクが感じていることの、ほんの一部でしかな…

ミシェル・ペイヴァー『追放されしもの』評論社

クサリヘビが一匹、川岸をするすると降りてきて、ぬめぬめ光る頭を水の上にのばした。トラクは、数歩手前で立ち止まり、ヘビが水を飲むのを見守ることにした。 p.5

越谷オサム『陽だまりの彼女』新潮社

「へー。運命の出会いって感じだね。で?」 p.96 「ほんとに思い出深いよね。二人が出会った場所だもんね」 p.201 「中学のときにここでキスして自分の気持ちがはっきりして、それからおれが逃げちゃって、再会して、結婚して、またここに帰ってきた。これ…

越谷オサム『陽だまりの彼女』新潮社

何度確かめても、受け取った名刺には「渡来真緒」とある。 p.3

海堂尊『医学のたまご』理論社

『科学の前では大人も子どももない。自分でやったことの責任はとらなければならない』。この点、パパは絶対に正しい。だが、パパが本当に言いたかったことは残りの半分だ。それをこれから言おう。 カオル、科学を前にしたら大人も子どももない。人の命に関わ…

海堂尊『医学のたまご』理論社

僕の名前は曾根崎薫。桜宮中学の1年生。 p.6

飛鳥部勝則『レオナルドの沈黙』東京創元社

「でも、現代のミステリーにも、その類の趣向は頻繁に現れるわね。ノックスのいう当時の単純なパターンではなく、もっとひねられた使い方をされているけど」 「そういうことさ。つまり、ツイストすれば読者は許す。というより現代では、ツイストするしかない…

飛鳥部勝則『レオナルドの沈黙』東京創元社

私ことT・真壁は、名探偵・妹尾悠二氏を大変に尊敬している。 p.4

小川一水『妙なる技の乙女たち』ポプラ社

残念ながら、女がいない。だからなんだ?発明は男だけの特権だとでも? 「創ってやる」 p.21(第一話「天上のデザイナー」より) 自分が大きな苦労を強いられている不動産取引という営みが、本質的にまったく生産的ではないということを認めたくなかったの…

濱野京子『フュージョン』講談社

跳びながら、風を感じる。その瞬間が心地いい。考えてみれば不思議だ。縁がなかった子たちと、学区から離れたところで、縄跳びなんかやってる。あたしたちは、お互いの境遇というのか、家族だとか、それぞれの友だちだとかについて、一切話すことなく、ただ…

濱野京子『フュージョン』講談社

傾きかけた太陽がじりじりと背中に照りつける。 p.3