ミシェル・ペイヴァー『追放されしもの』評論社

 トラクが目を覚ましたのに気づいてウルフがやってくると、まるで仲たがいなど一度もしたことがなかったかのように、陽気に鼻をなめあった。
[ごめんよ]トラクは、オオカミの言葉で言った。といっても、それは今トラクが感じていることの、ほんの一部でしかなかった。
[わかってるよ]ウルフは答えた。
 それで、じゅうぶんだった。  p.274