2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

瀬戸内寂聴『奇縁まんだら 続』

「瀬戸内さんを羨ましいと思うのは、ぼくが絶対逢えない歴史的作家にほとんど逢っていることです」 p.38

東直子『薬屋のタバサ』新潮社

「だけどさ、死んじまうからこそ、自分のかたちを残したがるんじゃないかと思ってね。残したがってるんだから、こうして自分が見つけたものくらいは、集めてるんだよ。ほうっておいたら、踏みつぶされたり、吹き飛ばされたり、影も形もなくなっちゃうだろう…

東直子『薬屋のタバサ』新潮社

何もかも、申しわけありませんでした。 わたしは、また、つぶやく。 p.3

赤染晶子『うつつ・うつら』文藝春秋

ここでは空気も風も求めてはいけない。この街の人たちの静かな呼吸でなければならない。これを知らない芸人は窒息する。もう堪えられなくなって走って逃げる。うつつもそぞろも何人もの芸人がこの舞台から逃げるのを見てきた。二人は思っている。たまたま、…

青山七恵『やさしいため息』河出書房新社

風太のノートなど、もういらない。自分の生活がどう記録されようと、もう興味がない。本当の人生はつれなくて、安全だけども不毛だ。 p.114 「でも、久々に会っても、ちゃんと自分から人生をややこしくして面倒なことをやってるまどかは、なんか感動的だっ…