海堂尊『医学のたまご』理論社

『科学の前では大人も子どももない。自分でやったことの責任はとらなければならない』。この点、パパは絶対に正しい。だが、パパが本当に言いたかったことは残りの半分だ。それをこれから言おう。
 カオル、科学を前にしたら大人も子どももない。人の命に関わる医学では特にそうだ。それは裏返しても同じ。君が事態を冷静に把握し、すべてを明らかにする勇気と覚悟を持つなら、たとえ相手が大学教授でも恐れることはない。科学を前にしたら大人も子どももない。カオルと藤田教授は、今や同じ立場にあるライバルだ。遠慮はいらない。勇気を持って前に進め。  p.243〜244

 知らずに読んだけど、桜宮サーガの一編だったのか(スピンオフな番外編シリーズ?)。とにかく読み終わってとある既刊作品を読んでいなかったことを深く後悔した。サービス出演の意味が分んなくちゃ楽しめないもんね!
 ひょんなことからスーパー中学生として、東城大学医学部で医学を研究することになってしまった薫。トラブルに巻き込まれながらも、どこか飄々としていて、でも事件を通して成長していく薫の姿がとても爽やかだ。遠く離れて暮らしていても心が通い合っている薫と父親の一風変わった親子関係もいいなあ。ちょっとサローヤン「パパ ユア クレイジー」を思い出した。
 更なる薫の成長の物語が読みたい!続編も希望です〜(中学校を舞台にした三田村優一、幼馴染の進藤美智子、平沼雄介(通称ヘラ沼)らとの友情ストーリもいい感じ。好き好き)。