津原泰水『ルピナス探偵団の憂愁』東京創元社

 (略)…しかし祀島、考えてみてほしい。映画の続篇というのはほとんどが駄作でしょう、なぜか。前作の成功ぶりを崇めたたてまつる製作者たちが、その再現を天命のように感じてしまうからです。なぜ続篇が必要なのか、いかなる続篇ならば有意義か、そういった批判精神をつい欠いてしまう」
 「『死霊のはらわた』の続篇は良かったですね」
 「なんのはらわた?寡聞にして未見ですが、サム・ペキンパーですか?」
 「いえいえ。『戦争のはらわた』を期待されるとだいぶ趣が違います。忘れてください」 (p.85 「犬には歓迎されざる」より)