パトリシア・A・マキリップ『オドの魔法学校』
「方法を見つけてくれ」くちびるだけで言う。交わされた言葉が、魔法使いであろうと、壁から視線をそそいでいる顔であろうと、なにものにも聴かれることのないように。ミストラルは答えなかった。ただ、これからおこなう術のため、心のなかにその糸を加えた。片腕をあげ、手をひらく。掌には星がひとつ燃えており、ふたりのあいだで深紅の炎が脈打った。 p.258
「ヴァローレン!」スーリズはかっと顔に血が集中するのを感じ、自分の声に父とそっくりな響きを聞きとった。「わたくしはヴァローレンのために考え方を変えたりしないわ。あなたのためだって、お父さまのためだって、この国のだれのためだって同じよ。追放するか、このままで受け入れる方法を見つけることね。たとえボタンひとつ分だって、自分自身の魔法を手放したりするもんですか」 p.363
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