瀬尾まいこ『戸村飯店青春100連発』理論社
封筒にも入っていなくて、ただのルーズリーフにたった四行、黒いボールペンで書かれていた。でも、十分俺を勇気づけた。
ちきしょう。岡野、めっちゃかわいいやん。
ちきしょう。兄貴、やっぱ俺の何倍も賢いやん。 p.263
「人生に疲れてへんの?」
「うーん、なんか大丈夫。食べられそうになってきた」
古嶋はさっそくハンバーグに箸をつけた。幸せなやつ。
「よかったな
「うん。元気があればなんでもできるって、ニーチェもゲーテも言ってるもんな。哲学者の言うことは時々すごく的を射ている」 p.273〜274
「仕事がそんなに負担ってわけじゃないし、楽しいこともちゃんとあるのに、休みの終わりはどんよりしちゃう」
「そうやね」
「明日が来ないと困るのに、また明日が来るのかと思うと気が重い」
「ほんまに」
「もっとずっと一緒にいたいのに」
「へ?」
「もっとずっと一緒にいられたらいいのにね」 p.304
兄弟を取り巻く周囲の人たちの大らかさ温かさが心に沁みる。感想はコチラ。