平山瑞穂『プロトコル』実業之日本社

「地球上にある幸せの合計は変わらないんだ、と俺は思っている」  p.57

そもそもわたしは、そういう席でどのようにふるまっていいかがどうしてもわからないのだ。初対面の、無作為に選ばれた相手に、自分を異性として印象づけることが暗黙のうちに目的として設定されている場で、どのようにふるまうのが適切であり、合目的的であるのかということが。  p.61

「もう……いいんじゃないですか?」 
 わたしは言った。  p.257

「寝た子を起こすことはない、か。うまいことを言うな」
「ある人の、受け売りですけど」
「一面の真理はあると思うけど、君が君の立場で僕にそれを言うのは、不思議な気がするな」
「でも、そうすれば、八方丸く収まるんです」  p.257