鏑木蓮『屈折光』講談社

「先生。私は、父が病で倒れるまで、父と真剣に向き合ってきたとはいえませんでした。でもこの間、懸命に父のやってきたこと、やろうとしてきたこと、そしてやりたかったことを捜し求めてきたつもりです。そして出した私の結論が尊厳死でした。でも、でもダメなんです。父と父と一緒に生きていきたいんです。お願いです、武井先生。どんなことをしても、父を生かしてください。一日でも、一日でも長く」  p.360