舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』下巻 新潮社

 それから俺は俺の中の黄金律を思い出す。
 全てに意味がある。  p.64(「第四部 方舟」より)

世界は人の信じるように在り、その世界観は絶えず他人によって影響され、揺らいでいる。<<意識>>が時空を変形させるという現象もその一つなのだ。  p.94(「第四部 方舟」より) 

人の意識が世界を作る。これは人の意識が<<世界>>の在りようを変化/変形/変容させるという意味だったが、<<自分の気持ち>>が自分の形をして<<自分の外>>に出るように<<自分の思い描いた世界>>もまた外の現実世界とは別個の世界として自分の外に在るのかもしれない。  p101(「第四部 方舟」より)

<<知>>なら、俺は辿り着いてみせる。俺には<<気持ち>>があり、俺は探偵だから、それも子供を救うための探偵だから、俺は必ずそこに辿り着けるのだ。俺にしかできないこととはそれなのだ。
 踊り出せよディスコテック。急いでな。  p.155(「第四部 方舟」より)

 俺なら見つけられる。
 考えろ。
 全ては俺の中にあるのだ。  p.309(「第四部 方舟」より) 

 

 人間の希望があの新世界を作ったことを踏まえて考えるに、もし全ての創造の源が希望、より良い世界が欲しいという気持ちならば、悪がどんなに生まれようとも、歴史の繰り返しがいくら物事をすり減らそうとも、世界は必ず良く生まれ変わるし、その生まれ変わりの繰り返し自体の摩耗すらも希望は乗り越えていけるはずだ。
 そういう音楽(music)の中で、俺は小枝(muse)とともに今も踊り続けている。  p.452(「第四部 方舟」より) 

 アッチョンブリケ!(笑)さんざん舞城に翻弄されこちらまで踊らされたけど、最後に残るのは静かな感動。スゴいよ、舞城!それにしても梢ちゃんが可愛すぎる(笑)。