大島真寿美『すりばちの底にあるというボタン』講談社

 晴人は、すぐそばにいる、薫子や雪乃や邦彦と知り合い、いっしょに歩いた、このすりばち団地のことを思っていた。ジャングルジムや、坂道。毎朝、さがしたボタン。作戦会議。お父さんとは別れてしまったけれど、ぼくはここで、友だちをみつけた。だから、ここは、ぼくの大事な、場所だ。  p.212