最相葉月監修『星新一 空想工房へようこそ』新潮社 とんぼの本

星新一 空想工房へようこそ (とんぼの本)

星新一 空想工房へようこそ (とんぼの本)

 「江坂さん。ショートショートは、作者は消えてなくなっても、不思議な余韻を残す民話として語り継がれていく。それが理想です」  p.79

 しかし、訳せた小説はまだいい。「午後の恐竜」は、途中でつらくなってやめてしまった。「処刑」など、いずれ英訳するであろうことを考えるだけで具合が悪くなってしまうのである。
 単に訳している私でこんなにつらいのに、あれを夜中にひとりで書いていた父は、大丈夫だったのだろうか、と思う。いまさら、こんな心配をしても遅いのだけれど。  p.92(「英訳して思ったこと」より)

 「お父さんって、どんな人?」とよく聞かれる。ひとことで言うのはむずかしいけれど、強いて言えば、「バーバリーのラベルをchpのワッペンでかくすような人」なのである。  p.94 (「バーバリーのコート」より)