スーザン・プライス『オーディンとのろわれた語り部』

 「ええと……まじないとは……ああ、言葉だ。まじないとは言葉で……」
 「言葉だ!そうとも、まじないとは言葉だ、魔法とは言葉だ!力を持つように考えて選び、組み合わせた言葉なのだ。ネコよ、おまえが物語を語るときも、考えて言葉を選び、強い力を持たせようとするのではないかね?言葉こそ、おまえがあのばけものと戦うのに使う武器だよ。フレイヤもきっと、力をお貸しくださるさ。グヴェルドルフはオーディンの名のもとにまじないを唱えるが、おまえはフレイヤの名のもとにまじないを唱える。おまえの魔法がグヴェルドルフのよりもたくみであれば、勝てるのだよ」  p.71〜72