畠中恵『こころげそう』
- 作者: 畠中恵
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 単行本
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(色恋は……思いの外だ) p.43(「恋はしがち」より)
「分かってる。酷いこと口にしたわ。お染ちゃんがうらやましいのよ、あたしは」
でもねと、宇多をまた睨んだ。
「でも、人の気持ちが分からないのは、宇多の方じゃない。お染ちゃんは好いた相手から、思われているのよ。なのにまだその上、親が賛成してくれないとか、弥太さんが四六時中側にいないとか、色々悩んでる。それを贅沢だと言ってるの。絶対、贅沢よ!」
お絹はじれたように下駄で地面を少し蹴った。そして涙目で宇多を睨むと、そのまま駈け出してしまった。 p.73(「乞目」より)
重松がおまつを思い続けても、どうにかなるとは思えない。それでも……いささかつらいのではないか。男と女の気持ちはこんぐらがってばかりで難しいと、宇多は思ってしまうのだ。賽を振るときのように、思う通りの目が出て欲しいと願っても、なかなかそうはいかない……。 p.92(「乞目」より)
でもねと、お徳は言う。声はかすれて消え入りそうであった。
「どうしても……そうせずには、いられなかったんですよ」 p.133(「八卦置き」より)
とにかく今は、由紀兵衛を頑張って支えていかねばならない。於ふじに約束したのだから。「ああ」と思う。
「ああ、何て好きだったんだろうか」
今更のように、そして今でも恋しい。そんな思いが湧く時がある。 p.287(「幼なじみ」より)
感想はコチラ。それにしても切ない、、、。