筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』新潮社

階段を上がってすぐ左手の、表に面した小部屋に入ると、本箱のうしろから白い顔のフクロウが半分だけ顔を出しておれを見ている。  p.4

「ひとつの解答として、君が見たのは君自身の夢であって、今もまだその夢から醒めていないということも言えるよ」彼は微笑しながら、そんな恐ろしくもまたおっかない悪夢のようなことを平然と口にした。「だって、ここが夢の世界だということを、君は証明できないだろう」  p.57