椰月美智子『体育座りで、空を見上げて』幻冬舎

 見た目とはうらはらに、私の心は、徐々に波を打ちはじめていた。他人から見られる自分と自分の中の自分、ぜんぶ自分なんだけど、どれも違うような気がして、いつも気持ちがざわざわとしていた。  p.62(「一年三組」)

 恋にはほんの少しだけ興味があったけど、でも今のところ好きな人もいないし、っていうか、好きな人どころではなくて、自分のことだけで精一杯だ。私は、自分をたっぷり持て余していた。理不尽に怒り、親に当たり散らし、自分で自分をコントロールできない。  p.213(「三年九組」)

 思春期のやり切れなさ。懐かしいけど、こっぱずかしい。