畠中恵「餡子は甘いか」(『いっちばん』より)

 どうして菓子屋に生まれたのに、ここまで向いていないのだ?いや生まれというより、菓子作りは栄吉がやりたい夢であった。なのに、いかに必死になっても、どうにもならない。努力が、気持ちが、見事なばかりに空回りしていく。  p.193

「いっちばん」、「いっぷく」、「天狗の使い魔」、「餡子は甘いか」、「ひなのちよがみ」の5篇収録。