2008-11-14から1日間の記事一覧

畠中恵「餡子は甘いか」(『いっちばん』より)

どうして菓子屋に生まれたのに、ここまで向いていないのだ?いや生まれというより、菓子作りは栄吉がやりたい夢であった。なのに、いかに必死になっても、どうにもならない。努力が、気持ちが、見事なばかりに空回りしていく。 p.193 「いっちばん」、「い…

畠中恵「天狗の使い魔」(『いっちばん』より)

二人の姿を見て、心底ほっとしたのだ。何だかお菓子を貰ったちいさな子供のように、嬉しい。若だんなは兄や達の着物の端を、きゅっと強く掴んだ。 p.149

畠中恵「いっちばん」(『いっちばん』より)

「若だんなは栄吉さんが三春屋を離れて、寂しいんですよぅ」 「松之助さんも、嫁御と新しい店に行ってしまったし」 「だから、我らが慰めなくては」 「だからだから、若だんなの為に、お菓子を一杯用意しなきゃ!」 p.15