宮木あや子「群青」(『群青』小学館 より)

「そりゃ、骨折なんかと違って、心の傷ってのは簡単には治らないさ。もしかしたら、一生そのまんまかもしれない。それでも、皆なんとかだましだまし、生きてるんだよ。そういう痛みとか苦しみとか、そういうもん、体の奥のまた奥のほうに隠してさ」 
「……」
「そういうもんでしょ、人生って」  p.181