辻村深月『太陽の坐る場所』文藝春秋
「太陽はどこにあっても明るいのよ」 p.11(「プロローグ」)
私、嫌だけどなぁ。一生、自分の本当の居場所はここじゃないって思いながら生きていくのなんか」 p.24(「出席番号二十二番」)
あの頃の彼女は冷静だった。
流されなかった。
多分、一度として。 p.32(「出席番号二十二番」)
『だって、女子って群れるじゃない』 p.57(「出席番号二十二番」)
「やられたことは消えないけど、だけど良かった。忘れて、幸せでいるなら」 p.65(「出席番号二十二番」)
変化の起こらない日常の全てを、昔の共同体とそこから出た有名人という価値に懸けている。 p.104(「出席番号一番」)
貴恵が呼ぶ。彼女を通じて、自分と世界の境界が氷解していくのをはっきり感じた。獲得はできない。だけど、すぐ目と鼻の先に近づいた。 p.116(「出席番号一番」)
誰からも、哀れまれたくなかった。これ以上、もう、誰からも。私は主人公にはなれないけど、きちんと息をしていける。 p.117(「出席番号一番」)
自分は今、現実と繋がっている。全てを手に入れている。この姿であの場所に座りたいのだ。かつての教室に一緒にいた彼らに、全てを諦めていたかつての自分に、今を見せる。 p.119(「出席番号一番」)
「キミとは違うよ、貴恵は。昔っから心が清いんだ」 p.132(「出席番号一番」)
靴も服も、軽やかであればあるほどそれは鎧だ。完璧な防備は攻撃に勝る。 p.186(「出席番号二十七番」)
狭い世界の女王様は、あの後どうなったのか。 p.230(「出席番号二十七番」)
岩戸の向こうから引き出して、私が彼女と話したいこと。もっと強く価値が払えるものが現れれば、おしまいになるかもしれないお楽しみ。私が見たい失墜、取り戻したいもの。 p.231(「出席番号二十七番」)
八百万の神々が大笑いする声を不思議に思ったアマテラスが、外を覗くため、扉を開ける図。隙間から、眩いばかりの光が溢れる。太陽を背負った女王。どこにいようと、女神のいる場所こそが昼間なのだ。太陽の場所は、私が決める。 p.298(「出席番号十七番」)
引き出されたアマテラスはもう、中になど戻れない。やがてこの喪服のような制服も脱ぎ、私もこの場所を去るのだ。 p.346(「出席番号十七番」)