原田マハ『おいしい水』岩波書店

 光のさなかにいるときは、その場所がどんなに明るいか気づかない。そこから遠ざかってみて初めて、その輝きを悟るのだ。  p.11

「水?」
「そうやねん。あたし、水が湧いてくるねん」  p.33

「あたりまえや。おいしくなんかあらへん」
「結構、おいしい水や」
「うそつき」
「味見するか?」  p.75

 おいしい水って。切なくてほろ苦い恋の思い出。