中島桃果子『蝶番』新潮社

 こうして無邪気に虹は主役を奪っていく。今は菓子から。時々ナメから。
 理解して欲しくて理解してもらえるから、人は人前で涙を流すんとちゃうんか。  p.60

 あたしや菓子が大人になってきたように、虹だって、ナメだって、大人になっていくんや。というか、もう大人なんや。
 大人になった四人姉妹の事情は、年々複雑になっていくようにあたしには思える。  
 その複雑さに、あたしはあんましついていけない気がする。
 姉妹をとりまく、複雑。  p.111

 その瞬間すべてを放り出したくなった。
 パパにもママにも、あたしを理解してもらうこと、それはこの先も望めない。その瞬間、悟った。あたしだけがこの家で違う色の服を着ていることに。  p.139

 「若草物語」を連想させる四人姉妹物語。血が繋がってるからこそ、いろいろあるよねえ。これから先の物語が知りたい読みたい。読んでいるうちにだんだんハマってくる。