山崎ナオコーラ「笑うお姫さま」(『手』文藝春秋収録)

「ひとりの男に『いい女』と思われたら、それで満足した方がいいのかしら」
「そうだろう」
「ふうん」  p.111

 女は泣き続けた。「私のライフ・ワークが、『王の前で笑うこと』だけだったなんて、むなしいったら。泣けるわ」。変な人生。  p.113