2008-09-24から1日間の記事一覧

吉田修一『さよなら渓谷』新潮社

そんな目に遭ったのは彼女のほうなのに、ずっと考えていると、まるで自分がそんな目に遭ったような気がしてきて……、なんか、誰かに負けたような気がしてきて。でも、この誰かって誰なんすかね?」 p.92 ただ、一人で喋り続けているうちに、自分がそれほど尾…

吉田修一『さよなら渓谷』新潮社

その日の早朝、立花里美は隣家の尾崎宅を訪問した。夫の俊介はまだ眠っており、応対に出たのはパジャマ姿の妻、かなこだった。 p.3