2009-02-15から1日間の記事一覧

津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』筑摩書房

わたしは二十二歳のいまだ処女だ。しかし処女という言葉にはもはや罵倒としての機能しかないような気もするので、よろしければ童貞の女ということにしておいてほしい。やる気と根気と心意気と色気に欠ける童貞の女ということに、だれでもいいから何か別の言…

津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』筑摩書房

煙たい味のする雨が下唇に落ちて、わたしは舌うちをした。 p.3 なぜわたしは雨が降る廃車置場で、イノギさんが10年ほど前になくした自転車の鍵を探しているのか。イノギさんとの出会いから探すことになった経緯までを描く小説。