北山猛邦『踊るジョーカー』東京創元社

「いいか悪いかの問題ではないな。やらなきゃいけない。それが『正しい』ってことだ」
「名探偵は『正しい』?」
「そうとは限らないが……」
 人生を懸けたトリックで他人を殺害し、運命を変えようとする人々。探偵はその運命を矯正する力を持つ。それだけに躊躇する気持ちはわからないでもない。名探偵は他人の運命を破壊するだけの力を持っている。  p.297(「ゆきだるまが殺しにやってくる」より)