生田紗代「カノジョの飴」(『ぬかるみに注意』収録)講談社

「浮かぶ学校なら、なんだかファンタジーだけど、沈む学校なんて笑えない」
「悲劇だよ。悲しすぎる」  p.67

 私は、熊の形をしたビンをしっかりと持って、学校と共に、少しづつ沈んでいく井出さんの姿を想像した。お母さんの思いがこもったビンを片手に、彼女は幸せそうだった。そしてやっぱり、孤独に見えた。  p.73

 拒食症になってしまった井出さんと私のちょっとした交流。ベランダで私と二人きりで過ごす時間がいい。