森絵都「銀座か、あるいは新宿か」(『架空の球を追う』収録)文藝春秋

 まがりなりにも三十数年を生きてきた今の私たちは知っている。答えはひとつじゃないことを。結婚に生きても仕事に生きても、子供がいてもいなくても、離婚をしてもしなくても、セックスに愛があろうとなかろうと、そんなことは別段、人間の幸せとは関係がなさそうなことを。  p.40

 山あり谷あり。人生いろんなことがあって、それを乗り越えてここにこうしている幸せ。くだらないことで熱くなって議論できるなんて、幾つになっても学生時代から変わらず続く交流が微笑ましく羨ましい。
<収録>「架空の球を追う」△「銀座か、あるいは新宿か」◎「チェリーブロッサム」△「ハチの巣退治」△「パパイヤと五家宝」○「夏の森」△「ドバイ@建設中」○「あの角を過ぎたところに」○「二人姉妹」○「太陽のうた」◎「彼らが失ったものと失わなかったもの」◎