2008-03-12から1日間の記事一覧

井上荒野「夜を着る」(『夜を着る』集英社 収録)

どうするべきなのか、どうしたいのか決められないまま、結局光二と同じ嘘バリアーを張りめぐらせて、どんなに打ち明け合っても、じつはちっとも触れ合っていないのかもしれない。 p.135

井上荒野「I島の思い出」(『夜を着る』集英社 収録)

「あの人はよくないわよ」 母は言った。 「そうかな」 「そう。奥さんがいるからとかそういうんじゃないわよ。なんかねえ、電話で喋った感じが、だめだった」 「そう?」 「そうよ」

井上荒野「終電は一時七分」(『夜を着る』集英社 収録)

「終電は一時七分電よ」 え?と五郎はききかえした。 「終電は一時七分。下りよ。上り電車には、もう間に合わない」 p.96〜97

井上荒野「映画的な子供」(『夜を着る』集英社 収録)

ただ、両親が「映画的」と口にするとき、彼らがほしいのは映画的な子供なのだ、ということが伝わってくる。つまり、自分がちっとも映画的な子供じゃないらしいことが。 p.39〜40

井上荒野「アナーキー」(『夜を着る』集英社 収録)

夜を着る作者: 井上荒野出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/02/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (22件) を見る 「これ、今日二度目ね」 と彩が言う。 「今日は何でも二度目の日なのね」 p.23 痛みや、ほかの何かで朦朧…