2009-06-06から1日間の記事一覧

稲葉真弓「光の沼」新潮社(『海松』収録)

この土地の古い言葉で「食べなさい、飲みなさい、走りなさい、飛びなさい」という意味の<聲>が、地底とも天空ともつかぬ場所から聞こえてくる。楽しいことのすべてを、こちらへ託すような<聲>。同時にそれは、あっという間に五十数年を過ごしてしまった…

稲葉真弓「海松」新潮社(『海松』収録)

ずっとずっと仕事をしてきたのだ。食べるために不健康な毎日を送ってきた。生きるために不健康を選ぶのは矛盾じゃないか。だからここではなにもしたくない。無意味な暮らしがいい、空っぽの日々がいいといつも思う。 p.19 そんな時間が私にもあった。私の中…