堀江敏幸「プリン」(『未見坂』新潮社収録)
ひとにあやまるのって、どうしてこうむずかしいのだろうと、悠子さんはあらためて思った。龍田さんの言葉はただしい。潔癖で、正直で、気持ちがいい。けれど、受け取るひとによって、その前置きの部分に正反対の解釈がうまれるかもしれない。そういうことを考え出すともうきりがなくなって、食中毒だのなんだのとはまたべつのほうに頭が働く。それで、よけいに疲れてしまうのだった。 p.151
息子の寝顔は、ともあれ母にそっくりだ、と悠子さんは思った。 p.166
ひとにあやまるのって、どうしてこうむずかしいのだろうと、悠子さんはあらためて思った。龍田さんの言葉はただしい。潔癖で、正直で、気持ちがいい。けれど、受け取るひとによって、その前置きの部分に正反対の解釈がうまれるかもしれない。そういうことを考え出すともうきりがなくなって、食中毒だのなんだのとはまたべつのほうに頭が働く。それで、よけいに疲れてしまうのだった。 p.151
息子の寝顔は、ともあれ母にそっくりだ、と悠子さんは思った。 p.166