認知症を得た女や男でさえ、その例にもれない。どの男も女も、英さんの言葉を借りるなら、「自分の今までの人生を。どっと自分の上にふりかからせながら」、それぞれの人生の中から否応なしにこぼれでてくる幾多の苦みや軋みや、ときどきはよろこびを、介護するぼくに向かってにじみ出させる。 p.91
蛇は穴に入り、人はやがて死ぬる。そしてぼくは、日々。考えつづける。甘っちょろく、気長に、考えつづける。 p.101
人称がぼくなためか、ちょっとだけ村上春樹を連想。とことんついてない青年が見て体感する人生の少しのおかしみと哀しみ。それでも人生は続く。ケセラセラ。