津村記久子「アレグリアとは仕事はできない」(『アレグリアとは仕事はできない』収録 筑摩書房)

 万物には魂が宿る。ミノベの信仰にはそうある。万物に魂は宿る。母体の下の口から、あるいは殻を破り、あるいは分裂し、あるいは型を抜かれ、あるいは袋に詰められ、あるいはネジをとめられ、あるいはネジと一緒に梱包され、万物の命は生まれる。そこに魂は宿る。ミノベは信じる。  p.7