鹿島田真希「女の庭」(『女の庭』収録 河出書房新社)

 息がつまる。母、母、母親に囲まれていて、私は息をつまらせている。別に私には特別なところはない。自分はいい意味でも悪い意味でも、普通の主婦だ。どういうところが普通かと聞かれて、答えていたらきりがないけれども。だって、普通であることを、当たり前であることを、いちいちあげていたらきりがない。  p.7