2009-02-20から1日間の記事一覧

鹿島田真希「嫁入り前」(『女の庭』収録 河出書房新社)

結婚という言葉をイメージする土人形は確かになかったけれども、彼は結婚するのだったら、私の子宮の中の糞を取るという。私は結婚という言葉が受肉した土人形なんだと思った。子宮が空の土人形。それを作るのにはきっと技がいるだろう。なにしろ中が空洞な…

鹿島田真希「嫁入り前」(『女の庭』収録 河出書房新社)

母親はため息をついた。そして粉末のプロテインを牛乳で溶いたダイエット・ドリンクをテーブルに置いて、ぴったりと胸に近づける。 p.87

鹿島田真希「女の庭」(『女の庭』収録 河出書房新社)

こうして私は普通の主婦に堕落していった。独身時代に、穏やかだと思って私を魅了した夫は、堕落した主婦を製造する装置だったのだ。 p.16 そして私はまた、井戸端会議に参加するのだ。主婦たちと話していると、私は生きていると実感する。このつまらなさ、…

鹿島田真希「女の庭」(『女の庭』収録 河出書房新社)

息がつまる。母、母、母親に囲まれていて、私は息をつまらせている。別に私には特別なところはない。自分はいい意味でも悪い意味でも、普通の主婦だ。どういうところが普通かと聞かれて、答えていたらきりがないけれども。だって、普通であることを、当たり…