2008-12-05から1日間の記事一覧

吉田修一『元職員』講談社

「だって、この国に来てる奴なんて、みんな嘘っぱちでしょ?(中略)みんなここに来て、本当の自分偽って楽しんでんだから、それでいいじゃないっすか。 p.51 「ええ、嘘。……嘘って、つくほうが嘘か本当か決めるもんじゃなくて、つかれたほうが決めるんです…

吉田修一『元職員』講談社

背景の風景が、すとんと抜け落ちたような気がした。突然、断崖絶壁の先端に後ろ向きで立たされたような感覚だった。 p.3

吉田修一「恋恋風塵」(『あの空の下で』木楽舎刊より)

何が悪かったのではなく、何が良かったのかを考えながら、終わる関係というのもあるのだろう。 p.148

吉田修一「旅たびたび オスロ」(『あの空の下で』木楽舎刊より)

郊外の小さなカフェに立ち寄って、何を期待したというわけではなかったが、普通だなぁと、ふと思った。旅先で見つける普通というのは、なぜこんなにも愛おしいのだろうか、と。 p.100

吉田修一「自転車泥棒」(『あの空の下で』木楽舎刊より)

自転車がそこから消えたというよりも、自分自身がふっと消されたような感じだった。 p.19