2009-02-17から1日間の記事一覧

三崎亜記「蔵守」(『廃墟建築士』収録)

私はなぜ、守り続けるのだろう。 そのことに、疑念を持ってはならない。 それが、私の存在意義でもあるからだ。 疑念は心を乱し、動きを妨げる。 いつ、どんな形で訪れるかも知れぬ「その時」に、一片の迷いもなく自らの職務を遂行するために。私は守り続け…

三崎亜記「廃墟建築士」(『廃墟建築士』収録)

「廃墟とは、人の不完全さを許容し、欠落を充たしてくれる、精神的な面で都市機能を補完する建築物です。都市の成熟とともに、人の心が無意識かつ必然的に求めるようになった、『魂の安らぎ』の空間なのです」 p.61〜61 廃墟が人々を癒すものであるならば、…

三崎亜記「七階闘争」(『廃墟建築士』収録)

「アルファベットや五十音だって、配列はあくまでも便宜的なものでしかないでしょう?階数もそれと同じなんです。一階の上に二階、二階の上に三階って順序に置かれているのは、混乱を来さないように便宜的に定められただけ。現に、世界最初の七階は、地面の…